オールセラミック
オールセラミックに使用する材料「ジルコニア」
オールセラミックとは、その名の通り「陶材」によってできています。

中でも、現在最も天然歯に近い色を出せる「ジルコニア」を歯科材料として使用しており、メタルボンドのように金属を使っておりませんので、金属アレルギーの心配もありません。ジルコニアは強度が高く、耐久性があります。
歯科で使用されている「ジルコニア」は正確には酸化イットリウム等を数%含有させる事によって強化された酸化ジルコニウムの事です。ジルコニウム元素と酸素が結合することにより酸化し、金属元素であるジルコニウムから全く新しい非金属材料(セラミックス)となります。機械的性質も科学的性質も全く異なるセラミックス素材となります。この酸化ジルコニウムに3〜5%希土類元素の酸化物である酸化イットリウムや素材によっては酸化セリウム等を含有させる事により、非常に強度の高いセラミックスとして応用が可能になっています。このような説明をいちいち解説出来ませんので、歯科の世界では「ジルコニア」といえば暗黙の内に上記のような素材を指す訳です。
写真1
写真2
ジルコニアはセラミックスでありながら、金属の様に結晶構造が変態をする希有な素材です。

熱変動により単斜晶→正方晶→立方晶と変態をしますが、常温域ではほぼ正方晶です。ジルコニアの強度を高める為に一部完全でない安定化をさせる部分安定化ジルコニアでは部分的に正方晶と立法晶が存在するようにしてあります。

イットリア等の希土類元素の酸化物をジルコニアに固溶させると、内部に酸素空孔という格子欠陥が出来ます。格子欠損が増加する延長上に関連した安定相が存在するので、昇降温度の変化にもジルコニアを安定させられるのです。ジルコニアの強度の秘密は応力誘起相変態強化機構にあります。強い圧力がかかった部分が瞬時に正方晶から単斜晶に変態するのです。単斜晶は正方晶より体積が大きいため、強い圧力によるクラックなどの進展を押しつぶすように止めてしまうため、これを進展させるにはより大きな圧力が必要となるわけで、結果強化が達成されていると言える訳です。この変態による結晶構造の膨張はもちろん目では見えませんが、電子顕微鏡では、はっきりと膨らんでいる事が確認出来ます。
ジルコニアが選ばれる、その理由
強度
精度
審美性
生体親和性